マインドフルネスって聞いてことありますか?

ビジネスの世界では、マインドフルネスが注目されています。

GoogleやMicrosoftフェイスブック、フォードなど世界の一流企業
取り入れているということでも話題になった「マインドフルネス」。

NHKスペシャルで特集が組まれたり、グーグル社の幹部研修に導入されたり、注目を集めており、
いまやマインドフルネスは、企業のリーダーにとって望ましいのではなく必須と言われます。

スティーブ・ジョブスやミランダ・カー、レディ・ガガ、マドンナ、アンジェリーナ・ジョリー…など
経営者からセレブまで実践しています。

その効果は単なる「ストレスがなくなった」「リラックスできた」といった
感覚的な評判ではなく、研究結果からは、脳に変化が生じるという科学的裏づけがあります。

 

 マインドフルネスとは?

マインドフルネスとは意識を「いまこの瞬間」の自分の心と身体の状態に向けることによって、
主観的な判断をせずに、現実をありのままに受け入れることを言います。

マインドフルネスのやり方

瞑想

「今、ここ」に100%集中して瞑想をしていきます。

1)背筋をまっすぐ座り、足を地面にしっかりつけます。

2)深く呼吸し、「いまここ」にただ集中してみます。

3)思考をジャッジせずにありのまま観察します。
  呼吸に意識を向け、思考が浮かんできたら、思考を追わず、
  思考を川に流すようにイメージしてみましょう。

 

マインドフルネスの科学的研究結果⑴

2014年ブリティッシュコロンビア大学とケムニッツ工科大学の科学者チームが、
20件以上の試験で得られたデータを解析し、脳のどの部分が常に影響を受けているかがわかりました。

特定された8つの脳の領域のうち、特にビジネスパーソンに関連する2つをピックアップしてみます。

自己制御に関わる前帯状皮質(ACC)

1つ目は前頭の奥深く、前頭葉の後ろ側にある前帯状皮質(ACC)と呼ばれる部位です。
ACCは自己制御力に関わっています。

自己制御力の向上

自己制御力とは、自分の行動を制御する力のことを言います。
何に意識を向け、行動するかを意図的に決め、その場にふさわしくない反応的な行動を抑え、
柔軟に対応する能力です。

マインドフルネス実践者はそうでない人と比べ、自己制御力のテストで優れた成績を示し、
注意散漫の原因に気を取られず集中し、より多く正解できました。

別の試験でも、瞑想する人のACCはしない人よりも活発になることが観察されている。

決断力の向上

またACCは自己制御力だけでなく、過去の経験からの学びをもとに
最適な決断を下す能力にも関わっています。

記憶・学習能力に関わる海馬

2つ目の脳の領域は海馬です。

海馬は、大脳辺縁系(情動と記憶に関わる脳内構造物の総称)の一部であり、
側頭葉の内側にあります。

海馬は記憶や学習能力に関わる器官とされ、アルツハイマー病の場合には、この海馬が萎縮しています。
新たに長期記憶をするときに、海馬が働いていると考えられています。

海馬はストレスに弱い

ストレスが加わると、副腎皮質からストレスホルモンであるコルチゾールというホルモンが分泌されます。
これは、ストレスが加わったときの緊急事態に適応した反応で、血糖値を高め、体にエネルギーを与えてくれます。

コルチゾールは、人間にとって必要不可欠のホルモンなのですが、心理的・肉体的ストレスの負荷により
長期的にコルチゾールが大量に分泌されると、脳の海馬を萎縮させることが分かってきました。


実際、うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)のようなストレス関連の障害を患っている人には、
海馬の萎縮が見られます。

海馬はレジリエンスと関わっている

これらの事実は、海馬がストレス耐性レジリエンス(逆境から再起する力)
に深く関わる部位であることを示していると言えます。

レジリエンスとは

レジリエンスとは折れない心、逆境から再起する力を言います。
言い換えると落ち込んだらすぐに立ち上がる力、逆境を克服する力です。

レジリエンスつまり、折れない心、逆境力は、現在の厳しいビジネス環境においてカギとなる能力の1つです。
 

マインドフルネスの科学的研究結果⑵

米精神医学誌「Translational Psychiatry(トランスレーショナル・サイキアトリー)」
に発表された新たな研究はマインドフルネスが免疫システムに影響を与えているかがわかりました。

研究では、カリフォルニア州のチョプラ・センター・フォー・ウェルビーイング(Chopra Center for Wellbeing)
に瞑想の経験がない女性94人に集まってもらい、6日間のバカンスを過ごすグループと、
6日間にわたり瞑想の経験者30人を含む、瞑想を行うグループに分けて調査を行いました。

参加者からは調査期間の直後、1か月後、10か月後にそれぞれ血液サンプルを採取し、
どの遺伝子の発現がみられたかを分析しました。

 

調査を行った2万の遺伝子に興味深い変化が確認された。
 
 全ての参加者グループ
  ・ストレス(炎症と創傷治癒)に関連のある遺伝子の発現に変化がみられた。
        ・気分の高揚を経験し、一部の者は調査期間終了後もしばらくその状態が続いた。

 瞑想経験者
  ・ウイルス感染への抵抗に関連のある遺伝子に変化があった。
  ・テロメラーゼの活性が高まった。
  ・アミロイドβタンパク質の比率が初心者グループよりも、もともと数値が良い状態だった。
   調査後、比率に変化はなかった。
  
 瞑想初心者
  ・気分の高揚を経験し、調査から10か月が経過した後もうつ症状の大幅な軽減を報告した。
  ・アミロイドβタンパク質の比率に改善がみられた。

 

1)テロメラーゼの活性化で老化の防止

動物の体にある細胞の大半は、分裂できる回数に限りがあります。
つまり寿命があるのです。

これには、染色体の先端に位置するテロメアと呼ばれる配列が深く関係しています。
テロメアは螺旋状になっている大切な遺伝子情報を保護する役目があります。

人体にある数十兆の細胞は、絶えず分裂活動をすることで人間の生命を維持しています。
ですが、細胞が分裂する際、テロメアも短くなってしまう。その結果、身体に老化現象が起こってきます。

テロメラーゼは短くなったテロメアの長さを伸ばすこと担う酵素です。
テロメラーゼが活性することで、老化を抑制し人の寿命が長くなることまでわかってきている。

 
2)認知症と関連するアミロイドβタンパク質の比率の改善

アミロイドβタンパク質が脳に蓄積することがアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)の原因となるか、
あるいは少なくとも深く関与することが知られています。

マインドフルネスがこれらのタンパク質の量に短期的にも長期的にも影響を及ぼすことを示唆しています。

「研究結果からは、瞑想が私たちにもたらすプラスの効果が精神的なものだけではないことが分かる。瞑想は私たちの体の機能にも測定可能な変化をもたらす」ハーバード大学及びマサチューセッツ総合病院 ルドルフ・タンジ
 

マインドフルネスのメリット

 

  • 慢性的な健康問題の改善を助ける。
  • ストレスが軽減される
  • 集中力が高まる
  • 免疫力の向上
  • 幸福感を感じやすくなる
  • ありのままの自分に自信が持てるようになる
  • 共感力が高まる
  • インスピレーションが湧き。創造性が高まる
  • 決断力の向上
  • 自己制御力の向上
  • 感情のコントロールがうまくできるようになる
  • うつ病の改善

参照
HBR.ORG:Mindfulness Can Literally Change Your Brain January 08, 2015